大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)1797 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人松原正交同相川耕平の上告趣意第一、二点について。

論旨はいずれも原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定の不当を主張するに

帰するから、適法な上告理由とならない。

同第三点について。

憲法三六条にいわゆる「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的、肉体的苦痛を内容

とする人道上残酷と認められる刑罰を意味し、単なる量刑の不当を指すものでない

ことは当裁判所の判例の示すとおりである(昭和二二年(れ)第三二三号、同二三

年六月二三日大法廷判決参照)。されば事実審たる原裁判所がその判示した犯罪に

ついて該当法条所定の刑期範囲内において、被告人を所論の如く実刑に処したから

といつて、それが被告人側から見て過重な刑であるとしても直ちに所論の如く憲法

三六条にいわゆる「残虐な刑罰」にあたるという訳にはゆかない。従つて、論旨は

理由がない。

被告人Bの上告趣意について。

原判決挙示の証拠によれば、所論の薬品が塩酸コカインであつたことを認めるこ

とができる。そして、判決には証拠取捨の理由まで判示する必要はないのであるか

ら、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

よつて、刑訴施行法二条、旧刑訴四六六条に従い、全裁判官一致の意見により、

主文のとおり判決する。

検察官 安平政吉関与

昭和二六年四月二七日

最高裁判所第二小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 小 谷 勝 重

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!